私の体験談 〜彩さん〜
20代からの生理不順(稀発月経)を放置。
いざ妊娠を希望し、検査をすると多嚢胞性卵巣、卵管狭窄、子宮内膜炎が判明。
医師の「早く授かりたいなら体外受精を」という助言を受けて、私の不妊治療は体外受精一択に。
まさか、なんで私が…と婦人科にかかってこなかったことを後悔しました。
職場の上司に相談し、「いつ休んでもいいように」自分しかできなかった業務は後輩に渡すことに。
在宅勤務も相まって、通院しやすく、職場の周りの目も気にならずに済み、治療と仕事の両立はうまくいきました。
ただ、いつ休んでもいい状況を作ること=自分が居なくても回るということであり、
自分にしかできないことがない自分は、もし妊娠しなかったときに、何が残るのだろうかというモヤモヤが付きまといました。
2回目の胚移植が化学流産で終わって治療をお休みしているとき、
「不妊治療のために仕事を緩めない」と決め、
部署異動を申し出てキャリアアップをしながら、治療も仕事も頑張りました。
妊娠しない未来を半分受け入れ、どう転んでも前向きに生きられるようにと、終わりを意識し始めたのです。
3回目の胚移植で妊娠。
治療中は、検査結果をネット検索したり、妊娠検査薬を何度も試して、見えない線を見たり、
仕事時間以外はずっと暗い気持ちでいました。
毎日たくさん薬を飲んで、膣剤を入れて、お腹にシール貼って、自己注射をして。
友人の出産報告がつらくてSNSを辞めました。
電車でマタニティマークが目につくだけで涙がでることもありました。
そんな中、自分の励みになっていたのは、
体外受精について大変さやつらさを知っている友人が「つらいね」「よく頑張ってるね」と声をかけて見守ってくれたことです。
答えのないことで悩んでしまうとき、アドバイスや解決策は要らなくて、
分かってくれる人に話を聞いてもらえることが心を軽くするとわかりました。
私は不妊治療を経験して、本当につらかったけれど、
つらい思いをしている人の気持ちがわかるいい経験をしたと思います。
20代のうちから自分の生理にきちんと目を向けてほしい、
不妊症や不育症で悩む方をサポートする活動をしたいと考えるようになりました。
2023年7月に株式会社フェミウェルを立ち上げ、
生理用品・デリケートゾーンケア・妊活アイテムなどのオンラインショップ運営、フェムケア勉強会イベントの運営などを行っています。
那須 彩
岐阜県出身、東京都在住。
フェムテックECサイト運営中。
口を開けば「月経カップ知ってる?」
資格マニアの人生迷子。
おしり探偵を全力で踊るのが唯一の運動。