対談コラム 「不妊治療の“ゴール”はどこにあるのか──10年の歩みと、その先の選択③」

ピアサポーター2人がテーマについて対談をするコラム。

3回に分けてお送りする、ピアサポーターのemikoさんと那須彩さんの対談コラムです。

第3弾のテーマは語られにくい声と、支え合える場所の必要性です。


彩:「不妊治療に関する情報について、感じていることはありますか?」

emiko:「やっぱり「妊娠・出産に至った人の話」が圧倒的に多いと感じます。
それ自体は素晴らしいことですが、「うまくいかなかった人」の話はあまり表に出てこない。」

彩:「確かに、探さないと出会えないですよね。」

emiko:「はい。私自身も治療中に同じような人を探していました。
「この先どうなるのか」「この気持ちはどう変わっていくのか」を知りたくて。

でも、なかなか見つからなくて、不安になることもありました。」

彩:「ピアサポーターの存在が必要ですよね。」

emiko:「そうですね。アドバイスをすることは難しいかもしれませんが、「話を聞くこと」はできると思っています。

私自身、病院の先生や看護師さん、カウンセラーの方に話を聞いてもらった経験がありますが、お話をしながら「この方は子どもがいる人なんだよなあ(子どもを産めないかもしれない私の気持ちを心の底から分かってくれるのか?)」と黒い気持ちになることもありました。

同じような経験をした人に、自分の気持ちをそのまま話せる場所って、本当に大切だと思うんです。悲しいなって思ったら悲しい気持ちを認めていいと思うし、話を聞いてくれる人に聞いてもらったらいいし。」

彩:「この協会が、まさにそういう場所ですよね。」


彩:「旅の途中で、何か後悔していることはありますか?」

emiko:「もっと早く病院に行けばよかった。あくまでも私の場合で、人それぞれ考えがあることだと思うんですけど、タイミング法を何年もしなくていいから、今すぐ不妊治療の専門クリニックに行って欲しいと言いたいですね。」

彩:「私も、確率の高い方法で若いうちにやることが近道なのかなと思いますね。」

emiko:「そうですね。
ただ、その時は別にそれが必要だと思ってなかったし、その当時の私に言っても聞かないかもしれないけど(笑)その時の選択もベストとは思っていたので。」

彩:「確かに。その時ベスト選んでるわけですからね。」

emiko:「はい。前向きな話だけでなく、揺れている途中の気持ちもそのまま出せる場所として、必要としている人に届いてほしいです。」


最後に

不妊治療のゴールは、一つではない。
そしてそれは、「出産」という結果だけで定義できるものでもない。

10年という時間の中で、emikoさんがたどり着いたのは、
“終わり”ではなく、“一区切り”という選択でした。

そして今、その経験をもとに、同じように悩む人の「話を聞く側」として関わろうとしている。

妊娠・出産に至らなかった声は、まだまだ少ない。
だからこそ、その声に触れられる場所には価値があると信じています。

もし今、誰にも言えない気持ちを抱えているなら——
そのままの気持ちを話せる場所があることを、知ってもらえたら嬉しいです。

最後までお読みくださり、ありがとうございました☺

 対談をした2人